【短編】チョコレートの誘惑
「…っ。そうだね。南月くんの言うとおり、アタシ、今日、本当に好きな奴にあげるよ。」
やっぱり、アタシは…
* * * *
〜〜♪
「二番ホームに列車が入ります。黄色い線の内側でお待ち下さい。」
寒い最中(さなか)、アタシは1人小さな紙袋と、学校指定カバンを持ったまま、白く太い円柱形の柱に寄りかかっていた。
きっと、アイツはまだ仕事で、当分帰ってくる事は無いと思うが、ひたすら待ち続けた。
待っている間、アタシの目の前を何組ものカップルが通り過ぎて行く…
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