【短編】チョコレートの誘惑
当たり前のごとく、日向は後ろを振り向いた。
見知らぬ、サングラスをかけた茶髪の男が、急に腕なんかを掴んだりしたら、怪しまれるのが普通。
「え…。?は、離してよ!!あなた、変態ですか?」
「……。」
意外だった。
初っ端に言うセリフが
"変態"ってどうよ?
呆気にとられて、言葉も出ない。
「んじゃ、変人ですか?」
二言目には"変人"て…
俺、どんだけの悪者?
なんちゃ痴漢行為やら、変人に思われるような素振りなんてしてないのに。
っま、ここも冷静に…
「お前なー…勝手に人を変態やら、変人呼ばわりしてんなよ。」
なんて言ってみた。
説教してるみたい…
「じゃ、あなたは何者?」
仕方無い…
ここまで言われたら、
バラすしかないな。
俺は、サングラスを少しズラし、日向をジッと見つつ答えた。
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