【短編】チョコレートの誘惑
「蜜柑、あのさ…ずっと気になってたんだけど、このチョコ誰にあげる訳?」
机の上に伏せて寝ている俺の耳に"チョコレート"の話が聞こえた。
そういえば、今日はバレンタインだ…
「え…あぁ。何か、多めに作っちゃったみたいなんだよね〜…」
嘘だな。
また、龍也と寄りを戻す気なのだろうか…
「へぇ、そうなんだ。アタシが食べてあげようか?^^」
「ん〜…」
…!!!それは駄目だ!!
もし、好きな相手に作ってきたつもりならば、そいつにあげなきゃ!!!!!!!
ガタンっ!!!
「駄目ですよ!!!!」
俺は自分の椅子から立ち、いつの間にか日向の傍まで駆け寄り、そんなことを言っていた。
「うわッ!!!!って…また、南月くんか…」
「ひ、日向さん、そのチョコレートは、是非とも好きな人に渡すべきです!!!」
あーあ、俺は何を言ってるんだ?日向に引かれるだろうな。
.