キミトナ【番外編】
「まあ、こんな可愛らしい恋人がいらしたなんて」

肥満気味の夫人が言う。

「ありがとうございます。」

雪音が礼をした。もちろん英語。

順調に食事が進んで行った。アメリカに慣れてるはずの雪音の顔がこわばっている。緊張とかあんまりしない方なのに…どうしたんだ?



「それでは、また」

無事に夕食もおえて、夫妻を見送ってから自分の車に乗った。

「雪音。どうしたんだよ?」

「何が?」

雪音の機嫌が車に乗ったとたん悪くなった。

俺なんかしたかな?

「なんで車に乗ったとたん不機嫌になってんだよ?」

「悪い?」

「悪いとわ言ってないけど」

雪音のこういうところ困るんだよな…



家に着いて、俺を追い越して先に雪音が入った。

「雪音!?」

本当どうしたんだよ?

玄関に入ると、花とかいろんなものが新しくなっている。愛子さんが変えたんだな。


ドアを閉めるように言ってあるのに、リビングのドアが開いていた。

もしかして、雪音かな?

「雪音?」

ゆっくりとリビングの中に入いると、月明かりで雪音がいることを確認できた。

すすり泣く音が聞こえた。

「雪音、泣いてる?」

「うるさい」

「雪音…」

そっとうしろから抱きしめた。




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