おじぎ草
慌ただしい葬儀が終わって数日後、母親がばあちゃんの遺品を片付け始めた。


僕も手伝わされた。


その時、ばあちゃんの部屋の縁側の下にひときわ大きな植木鉢を見た。


だけど僕はそれがおじぎそうの植木鉢だったことには気付かなかった。


母親が縁側の下から運び出す園芸用品を、なんの感慨もなく次々と受け取る。


最後に残った大きな植木鉢を受け取ったとき、僕は何気なく植木鉢の側面を見た。
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