ファミリーコンプレックス
さいしょ。
とがみさんは、
がんばり屋さんだもんね。
とがみさんは、
やさしくていい子ですね。
とがみさんは、
おりこうさんだね。
「戸上さん、2人だけでお話があるんだけど、いいかな?」
先生に呼ばれた。
わたしは、人見知りが激しくて大人しい子でした。
クラスに馴染もうと思って頑張っても馴染めなくて、小学4年生の頃まで、友人と呼べる"仲が良い子"は誰一人いませんでした。
それが、わたしの当たり前。
淋しくなかったわけじゃないけど、「グループを作って何か協同作業をする時」以外は、独りを楽しんでさえいました。独りを好むように自ら自然に、無意識にしていたのかもしれません。
絵を描くのが好きでした。
だからわたしは、
救われていたのだと今は思います。