ファミリーコンプレックス

利用しよう…

かわって父の話。

父は、今思えばの話ですが、一番の味方だったのかもしれません。

通信講座の教材を続けるか続けないかの話になったさい、母は「辞めなさい」と言いました。しかし父は、「葉月は、やると言ったらやるよな」と続けても良いようにしてくれました。わたしは本気で
「うん!やるよ!!」
と元気よく返事をしたのです。

結局お金が関わっているけれど、直接的なお金ではなく応援して貰ったのは、これだけだと思います。



でもいつからか、父から貰うものは「お小遣い」だけになりました。
父にしたら、娘がどんどん育ち分からなくなっていったのかもしれません。会話も少なくなっていきましたから。そんな中でも何かを示したかったか、関わりを持っていたかったのでしょう。

「お母さんには内緒だぞ」

そう言いながら毎回渡されたのです。



小遣い以外に貰えるお金。わたしは恵まれていたのですね。でも、気付いたのは最近のこと。当時のわたしは

「お父さんがくれるから、お小遣いなくなっても大丈夫だ。」

「そうだ。お父さんは、わたしが可愛いみたいだから、利用してやろう」



コワい子でした。

それからというもの、懐寂しく苦しくなると、それとなくアピールしては、後で特別なお小遣いを頂いていました。

たった一時の幸福を味わうために、父を利用していた過去を、"私"は一生忘れないでしょう。
 
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