繋げぬその手に優しいキスを・・【未完】
「あーあ・・雨振り出しちゃったね・・」


暗くなった空からパラパラと降ってくる雨。


まだ今のうちに帰れば濡れずにすむかな・・


その時教室の方で声がした。


「七海・・居るか?」


先輩?


「どうかした?」


どうしてそんなに表情が暗いの?


「いや・・ちょっと話があるんだ」


話って何?


大事なこと?


先輩は帰る間際の私を屋上に連れて行くと静かに頭を下げた。












「ゴメン・・俺と別れて」









嘘。


あまりにも突然だった。


パラパラ降っていたはずの雨はいつしか音を立てて地面を叩いていた。


「え?」


冗談だといって?


優しい笑顔でもう一度笑って?


「どうして?」


「理由は言えない」


目頭が熱くなった。
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