秋風ゆらり
第一話
………。
まるで目の前に居たかのような感覚…。
「………親父…?」
辺りを見回してもそんな影すらない。窓から差し込む春のキラリとした朝日が眩しいだけだ。
「…んな訳ないか…。」
無理矢理にでも立ち上がらないと眠さで死んでしまいそうだ。
階下では俺を呼ぶ母の声がやかましく響く。
大きな欠伸をしつつ、ノロノロと身支度を整えて学校へ向かうのはいつものことだ。
何も変わらない。
いや、変わって欲しくない。
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第一話