秋風ゆらり


大通りに鳴り響くクラクションも踏切の遮断機の音も慣れてしまえばただの雑音でしかない。



ウォークマンで音楽を聞いているのとさして変わらないんだ。



「面倒くせぇ…。」



またか…。


口癖だかどうしようもないんだ。

誰に似たんだかこの面倒くさがりは…。


歩くのすら面倒くさい。異常なのかと時に思うが面倒くさいものは仕方ない。


近くの公園のベンチに腰を下ろし、大通りを眺める。



「…学校休もう。」

すげー小声で言ったはずなのに、いきなり頭を柔らかい物でたたかれた。


「…っ~…痛くない?」


「当たり前でしょ!この若さで犯罪者は嫌だもん…。」


強いんだか弱いんだか分からない口調で怒鳴りながら俺の隣に腰掛ける。


「うるせーよ…彩香。」


名前を呼ばれただけで赤くなってるコイツはほんと強いんだか弱いんだか分からない。


こんな奴でも俺の彼女。名前は藤井彩香(フジイアヤカ)。


「高校生は学校に行くもの!なにが楽しくてこんな所でぼーっとしてるんだか…」


「そうか…、俺高校生だったんだな…。」


「あほっ!」


再び柔らかい物で殴られる。よく見たら新聞紙を丸めただけの棒だ。

そんなもんどこから持って来たのやら…。


「分かった行くよ…。」


ノロノロと立ち上がる俺を見かねたのか、

「遅刻しちゃうじゃない!16年間守り続けた模範生の称号が…。」
と、訳の分からないけとを口走りながら走って行ってしまった。


「薄情者だな…あいつ。」


まぁ、どうせ走っても遅刻だろうからゆっくり行くさ…
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