秋風ゆらり
案の定、学校に付いた頃には遅刻で、担任に白い目で見られるのを軽くスルーし席につく。


彩香は…どうやら間に合ったみたいだ。まったく…どんな足の早さだよ…。


「遅刻者は、吉川雅人…っと。」

新人の先生だから出席簿を付けるのも手こずっている。


つい可笑しくなって窓の方をみる。相変わらず春の日差しが眩しい。


春は嫌いだ…。なんとなく秋と似ているから…。


別に嫌いな理由は無いのだがなんとなくきらいなんだ。


物思いにふけっていてぼーっとしていた俺はまた柔らかい物で殴られた。


カチンときて、

「さっきから人の頭をポカスカと…。」


言い方が強すぎたのか、

「ご…ごめん…。雅人ったら入学してからもずーっと、ぼーっとしてるから皆に変な目で見られてるんだよ?」


「いいんだよ…それで。」


もともと面倒くさがりで人付き合いが悪いのだ。

彩香一人で精一杯だというのに、友達などたまらなくうっとうしい。


「帰りいつもの所で待ってる…。」


「うううんっ…!」


なんでこれくらいで赤くなってるんだか…。


ほんと、コイツは分からない。

まぁ、そこがコイツの良い所なんだがな…。


「あ"~っ、早く帰りてぇー。」


時間を早くするには寝るに限る。

俺は先生の講義という催眠術にかかり眠りに落ちた…。
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