マーブル



泣きたくなる様な切ないメロディで演奏を閉じた彼は、また照明と共に姿を消すと不意に私の隣へ現れた。



さっきのように腕を引かれ、裏口から外へと一緒に出ると……既に外は明るくなり始めていた。



「いいの?お店」



「俺の仕事はもう終わりだから」



あれは何の曲なの?



ここはあなたのお店なの?



あんな事が出来るなんて、一体何者なの?



聞きたい事はたくさんあるのに、見つめられると心臓がバクバクと脈打ってしまって、言葉に出来ない。



声が震えてしまう事が怖くて、階段に座り込んだまま黙っていると……



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