マーブル



だから俺は、ひたすら黙り込む。



千波のした事を話して、牢にブチ込むのは別に難しいことじゃない。



けれど……気付いたから。



あの日の千波の顔。本気で心が壊れてしまったように……感じた。



その千波を告発したとしたら?



知り合いが、同居人が薬中だとサツに言い出しかねない。



そうなったら凛は……何も知らないまま捕まってしまう。



それだけは……どうしても出来ないから今日も口を噤む。



俺から何も言わない限り、千波も自分が不利になるような……そんな事は言わないだろう。



ここまで来て尚、こんな事件になったんだから千波と凛が距離を置くだろうと思う俺は……甘いだろうか?



< 147 / 196 >

この作品をシェア

pagetop