マーブル
翌朝……いや、夜更かしな私の朝は既にランチタイムだったりするんだけど。
昨日の出来事が全部夢みたいで、目が覚めて思わず最初に確認したのは……携帯のメモリ。
そこに確かに残る【浅野春樹】の文字が、現実だった事を物語る。
あの光を思い出して、繋いだ手を思い出して、久々にだるさもなく起き上がると、そこには出かける準備を終えた千波さんの姿。
「あれ? 早いですね?」
「うん、今日はちょっと会う人がいるから」
「彼氏さんですか?」
そう聞いた私に、千波さんは少しだけ笑う。
中学の時の千波さんは不良グループの一員で、ただ怖いだけのイメージだったけれど、18歳の今は随分と柔らかくなった気がして……それはきっと好きな人のおかげなんだろうな。
そんな事を思いながら後姿を見送った。