マーブル



点滴中の私には訪れない3度の食事時間。カチャカチャと通路で賑やかい音が鳴り、煮物の香りがやって来る事で時間の経過を知る。



ひたすら仰向けに寝ているだけだから……出来る事と言ったら考える事だけで。



そんな時間は私に一つの答えを導き出させる。



あの日、もうどうなってもいいって……そう思ったのに。



こうなって気付く事。



捕まりたくは……ない。



一人で生きていかなくてはいけないんだとしても、捕らえられて過ごすなんてまっぴらで、それなら春樹に出会う前みたいに、自由に飛んでいた方がいい。



死んだ魚の目をしていたって、どうせ死ぬなら水槽よりも広々とした海の方がいい。


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