マーブル



その瞬間、春樹が提示した……目には見えない交換条件が届いたような気がした。



なるほどね。



そういう事……か。



「千波が売人をしてたって事俺は言わない……だからもう、凛に近付くな」



きっとそんなシンプルな事だったんだ。



理解に苦しんだって事は、私も相当病んでたに違いない。



確かに、あの日、もし春樹が冷静にそう話したとしても……絶対に認めなかった。



凛も一緒に地獄に落ちればいいって……そう思った筈。



いいよ。



今はそう思えないから



まだ自由に歩いていたいから



春樹の条件を飲んであげるよ。



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