マーブル



「そっか、良かった」



安堵した表情を見せ、コーヒーを一口すすると小声でマスターが話し出す。



「実は……あの頃、凛ちゃんに隠していた事があるんだ」



「隠……す?」



あの頃という言葉。マスターの表情からそれがあの事件の頃だって事だけはすぐに分かった。



空白の1年間。



それほどまで長い時間隠さなくてはいけなかった事があるとしたなら……それは春樹が私を避けた理由に繋がるような



そんな気がした。



「教えて下さい。何を聞いても……今の私なら大丈夫です」



私はきっと強くなれた。



春樹がいなくても……ううん、春樹の為だから、こうして一人でも頑張れてるよ。



だから大丈夫。



きっと何を聞いたって。



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