マーブル



分からなかった。



楽になる事がいけないのか。



それに、春樹を必要としないぐらい、強くなったとしたら……それはもう私じゃない。



春樹の愛してくれた私じゃなくて



私を必要としないぐらい強い春樹も……また違う春樹で。



「大丈夫、凛だったらもっと高い所へ行ける」



「一人じゃ……無理だよ」



泣きそうな私の頭にそっと手を置いて、撫でるその優しさは昔のままで……。



そのまま背中を向けて、右手を上げた。



バイバイだというように、それを左右に振りながら春樹だけが歩き出す。



< 178 / 196 >

この作品をシェア

pagetop