マーブル



終電の時間を過ぎ、まばらな人並みと逆行するように、ひたすらあの場所を目指した。



駅の名前と、柱と……脳内へと残された少ない情報を頼りにひたすら探す。



考えてみたら、いつも春樹がいるなんて限らないのに。



それでも、信じたかった。



巨大な駅の隅から隅まで、もしメロディが聞こえたなら聞き逃すまいと、全神経を尖らせて……もう何ヶ所通り過ぎたか分からない改札を抜けた時



「……いた」



そこにはキーボードをケースに片付けようとしていた……あの日のままの後姿。



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