マーブル



「春樹……助けて」



何から話していいのか分からずに、一番の願いを口にした瞬間



「いいよ」



迷いなく返って来る力強い言葉。



いいんだ。



私……本当に春樹に甘えていいんだ。



「最初に会った場所で待ってる」



何度もその言葉を反芻しながら、記憶にちゃんと残っていてくれたあの場所へ。



自分がそこへ向かう裏で、誰かを傷付けているなんて知らなかった。



これからは一人で苦しまなくてもいい。



そんな幸せでいっぱいのまま……私は家を飛び出した。




< 35 / 196 >

この作品をシェア

pagetop