マーブル
着いた先には……壁に背をつけ、少し寒いのかポケットに手を突っ込んだまま立っている春樹の姿。
冬のビル街は風が冷たいから……お気に入りの白いマフラーをぎゅっと巻き直してその隣へと近付く。
「久しぶり」
私の姿を見つけた春樹は……まるで迷子になっていた飼い犬を見つけたかのように
優しく、優しく、目を細めると
「おいで」
広げられた手に飛び込む時、迷いなんて一つも無かった。
春樹と一緒ならきっと大丈夫だって、そう思ったんだ。