マーブル



「寂しいなら……抱いてやろうか?」



「え?」



「変な意味じゃねーよ?」



くすっと笑うと大きな腕に包まれて……人と触れ合っただけで体が震えたのは初めてだった。



そのまま手を繋いで、話をしようと近くのホテルに入った後も春樹は私を落ち着かせるようにずっと隣で体を抱いていてくれて……



そして、搾り出した声。



「俺さ、寂しそうな奴見るとほっとけないんだ」



それは



私じゃなくても?



急に不安になるセリフ。それにうろたえる私に春樹は



「世界で一番寂しそうな女にしか興味が無い」



と、一言そう言い切った。



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