マーブル
第7章 千波の過去



思えば春樹に出会うまで、私はずっと無気力だった。



どこにいようが、何時に帰ってこようが、干渉しない親だったから……中学時代から悪い仲間と付き合っていて。



それだって、単純に構って来るのがそいつらだっただけだ。



私からは輪に入った事も、どこかへ行こうと誘った事も無い。



不良仲間の中でもボス的な奴、そいつが勝手に宣言した日から私は自分の意思も無いまま奴の女になった。



恋愛なんて面倒だったし……別にどうでも良かったんだ。



病弱にも見える白い肌と、人形のように生気のない私の顔。



それなのに、口を開くと零れる無駄に甘いかすれた声が嫌いだった。



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