マーブル
毎日がつまらないまま、学校を卒業して……ここに流れてきた。
家にいるよりはマシ、と紹介された水商売へ足を突っ込み、営業スマイルなんてしなくったってオヤジ達はそれなりにお金をくれた。
ただ、仕事をして、そのお金で食事をして、生を紡ぐだけのそんな生活。
いつものように仕事を終えて、知り合いの店で飲み直そうと顔を出した時
たまたまそこにいたのが春樹。
春樹は私の顔をじっと見ていたから、変な奴だって思ったのが第一印象。
覚えているのはその店で一曲春樹が歌ったその時の事。
冷たい表情が一瞬で柔らかくなって、見た目以上に高い澄んだ声で叶わない恋の歌を歌い上げる姿は
何でだろう?
私の目に、キラキラと宝石のように映っていた。