マーブル



「今のが……好きな人?」



「はい、一緒にいたいって思えた人で、私なんかを支えてくれるって」



「そういや、結局分かったの? 仕事何してたっけってヤツ」



「まだ分からないままなんですけど……それでも一人じゃ無いから大丈夫です。ひょっとしたら忘れたい事だったのかもしれないし」



そう言い残してトイレに立った凛の携帯を思わず盗み見る。



着信履歴に残っていたのは……間違いなく春樹の番号。



それを知った瞬間、心の奥に黒いものが蠢く。



何で、凛だけ幸せなの?



嫌な事は忘れて、春樹に守って貰って



何の迷いも無く彼の隣で笑う凛を、決して許してはいけないと思った。



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