マーブル
第9章 春樹の過去
【春樹SIDE】
いつからだろう。おかしな自分の恋愛感情に気が付いたのは。
俺の胸の中にずっと小さな穴が開いていて、それはまるで1000ピースあるパズルの中のたった1ピースなのかもしれないけれど
それだけで人間として不完全なようで、欠落したそこが埋まらない事が堪らなく嫌だった。
そこを満たすのが自分でない人間である事だけは気付いていた。
その相手は無差別誰でもいい訳じゃなくて
笑顔でチョコを差し出してくるような女には、昔から興味が無かった。
けれど……
何故か憂う横顔の女を見つけると胸が高鳴る。
寂しそうなその瞳が、俺を見透かすようで……救いを求めるように、手を伸ばしてしまう。