マーブル
そんな私をにっと見つめると、手を使わずに器用に立ち上がる。
180センチ以上はありそうな大柄な男が一気に視界に広がると
「じゃ、これ渡しといて」
「千波さんに渡せばいいの?」
「そ」
ごわごわとした分厚い素材の紙袋を手渡すと、口笛を吹きながら立ち去って行った。
荷物だったら……伝言でも書いて家の前に置いていけば良かったのに。
私や千波さんの帰りが遅かったらどうするつもりだったんだろう?
笑った顔にはどこか見覚えがあるような……ううん、きっとどこにでもいそうなチャラそうな男ってだけ。
落とさないように片手で包みを持つと、ようやく家に辿り着く。