マーブル



キッチンの椅子に腰掛けた時、一日の疲れがどっと溢れ出したような気がした。



「疲れたよ」



誰も言うでもなく、心を落ち着かせようと救急箱から安定剤を取り出し口に含む。



これであと少しすれば頭がぼんやりとして、私を楽な世界に連れて行ってくれる筈。



「この荷物は……」



キッチンに置いておいたら分かるだろうか?



折ってあるだけの紙袋をそっと開いてみると、その中には小さな袋に分けられた色とりどりの錠剤。



いつもの安定剤?



薬を分けて貰ってるのは医者の客だって言ってた筈だし……お遣い? そんな訳ないか。



少しだけ迷いながらも、そのままキッチンに袋を置いて部屋へと戻った。



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