マーブル



その中の一人として、チケットを買い中に入ろうとしたその時、見覚えのある姿がそこにある事に気付いた。



「千波……さん?」



私が気付かなかっただけで、これまでにも来た事があるのだろうか?



ステージ前に陣取る私とは逆に、バーカウンターの方へと消えて行く。



すれ違う人と会釈をしている所を見ると、どうやら知り合いも多いみたいだ。



確かに、千波さんみたいな儚げで、綺麗な人がこんな所にいたら周りが放っておくハズはない。



狭い店内とは言え、決して明るくない照明はそのまま千波さんの姿を飲み込んで隠してしまった。



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