マーブル



とりあえずチェーンを外して迎え入れた所で一人納得する春樹。



そして、その隣で全く訳の分からない私。



どうして千波さんを知ってるのかも、どうして昔からの知り合いみたいに呼び捨てにするのかも。



さっき千波さんがお店にいた事を思えば、春樹と顔見知りだって不思議じゃないけど……



だからって家まで知ってるってのが、なんだか引っかかる。



そんな不満そうに春樹へと尖らした口が引っ込んだのは……次の言葉を聞いたから。



「千波が……うちの客にドラッグを売ってる」



「え……まさか……」



そんなハズはないよ……そう言いたかったのに、見た事もないような春樹のマジメな顔が私の口を噤ませた。



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