マーブル
「千波さんが……まさかそんな」
確かにお店にいたのは知っているけど……。
もし私だったら……仮にそんな法を犯すとして、知り合いの目の前を選ぶだろうか?
ひっそりと、が普通なハズ。
「春樹と千波さんが知り合いだったら……そんな目立つ事しない気がするよ」
そう言いながらも唇がふるふると震えるのが分かる。
そう、あの紙袋。
あの中身はひょっとして……。
何か言いたげな春樹の顔。言葉をうまく紡げずに、二人困ったように見つめあっていたその時……
静かに
玄関の扉が……開いた。