討竜の剣
「なぁ、聞いたか?ドーラの噂」
ふらりと、市場での会話が耳に入った。
「あぁ、竜だろう?竜、しかもとてつもなくでかいヤツ」
その会話に、誰あろうナハトが過敏に反応して振り向く。
「ドーラに竜が出たのか?」
美しい女性と勝ち気そうな少女。
二人の連れと共に歩いていた眼光鋭いアイスラ人らしき男が、まさに俺達が言おうとしていたのと同じ質問を町人に投げかける。
「あぁ、なんでもその竜、ドーラの汚染された空気を吸い込んでおかしな方向に変化しちまったらしいぜ。汚竜と呼ばれているとか…」
汚竜…!
地域を越えたこのライストの地にまで、汚竜の噂は伝わっているのか。
ならば被害も大きくなっているのかもしれない。
…俺の隣に立つナハトが、ぎゅっと外套の端を握り締めていた。
無表情なその顔さえも、不安に駆られているかのように見える。
「まったく、産業ばかりにかまけているからだ。自業自得だろ?」
「そうだな。これで、ドーラの連中も目を覚ますだろうよ。ハハハ…」
その『ドーラの連中』の一人がここで話を聞いているとも知らないで、町人達は呑気に会話を交わす。
…二人連れのアイスラ人が通りの雑踏に紛れて消えて行った後。
「おい、あんた達!」
俺はその町人達に声をかけた。
「その汚竜っての…今どこにいるんだ?ドーラは今どうなってる!?」
ふらりと、市場での会話が耳に入った。
「あぁ、竜だろう?竜、しかもとてつもなくでかいヤツ」
その会話に、誰あろうナハトが過敏に反応して振り向く。
「ドーラに竜が出たのか?」
美しい女性と勝ち気そうな少女。
二人の連れと共に歩いていた眼光鋭いアイスラ人らしき男が、まさに俺達が言おうとしていたのと同じ質問を町人に投げかける。
「あぁ、なんでもその竜、ドーラの汚染された空気を吸い込んでおかしな方向に変化しちまったらしいぜ。汚竜と呼ばれているとか…」
汚竜…!
地域を越えたこのライストの地にまで、汚竜の噂は伝わっているのか。
ならば被害も大きくなっているのかもしれない。
…俺の隣に立つナハトが、ぎゅっと外套の端を握り締めていた。
無表情なその顔さえも、不安に駆られているかのように見える。
「まったく、産業ばかりにかまけているからだ。自業自得だろ?」
「そうだな。これで、ドーラの連中も目を覚ますだろうよ。ハハハ…」
その『ドーラの連中』の一人がここで話を聞いているとも知らないで、町人達は呑気に会話を交わす。
…二人連れのアイスラ人が通りの雑踏に紛れて消えて行った後。
「おい、あんた達!」
俺はその町人達に声をかけた。
「その汚竜っての…今どこにいるんだ?ドーラは今どうなってる!?」