討竜の剣
ドーラの西。

その山は霞がかっていた。

死霊の山。

それが赤茶けた岩山の名だった。

ところどころに窪みが目に付くこの山の地下に、亜人種ドワーフが集落を作って生活しているという。

「…ドワーフは…音に敏感…不必要に大きな音を立てなければ…刺激する事はない…」

ファイアルを出発する前に準備しておいた外套のフードをかぶり、ナハトが山を登り始めた。

俺もナハトに倣って外套を身につけ、後に続く。

ザクザクと土を踏む音だけが耳に入る。

会話はない。

ドワーフがどこかから聞き耳を立てているのではないかという緊張から、自然と無口になった。

時折。

「!」

岩の陰を、地下を、何かが動く気配がする。

驚きはない。

ドワーフなのは明らかだった。

俺達の動きに合わせて警戒しながら尾行してきている。

そして山の頂上に到達する頃。

「待て」

窪みの中から顔半分を出し、毛むくじゃらの男がこちらを睨んだ。

「お前ら…どこへ行く」


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