討竜の剣
名残惜しい所だけど、いつまでも長居はしていられない。

「それじゃあ…元気で」

「うん…アキラも…」

じわりと。

目頭が熱くなるのを感じる。

勇猛果敢、力こそが誉れ。

そんなファイアルの狩猟者が、人前で涙なんて恥もいい所だ。

振り返って、後はひたすら歩く。

後ろ髪引かれる思いを、未練を断ち切り、俺はひたすらに真っ直ぐ進んだ。

ナハトと過ごしたこの数日。

命懸けだったし、決して楽な日々じゃなかった。

だけどきっと俺の狩猟者人生の中で、間違いなく最高と呼べる日々だったに違いない。

有り難う、ナハト・リアリー。

願わくばお互いの人生の中で、また交わる事を夢見て…。






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