討竜の剣
竜滅砲を二発も食らったにもかかわらず、刃竜は突進!

その頭部の鋭い角で、ゴーレムを貫く!

如何に巨体とはいえ、只の土人形だ。

刃竜の突進力には耐え切れず、たった一撃でゴーレムは崩壊する。

その強烈な一撃に、巨体を維持する事ができなかったのだ。

竜滅砲もまた、地響きを立てて地面に落ちる。

「きゃあっ!」

危うくその下敷きになりそうになり、ナハトが悲鳴を上げて転倒した。

その目の前には。

「……!」

竜滅砲によって大きな風穴を二つも開けられ、大量の出血をしながらもまだ立っている刃竜の姿。

その眼が、真紅に輝く。

完全に、怒り狂っている目だった。

魔物どもの頂点に立つ竜種。

その竜種の体にこれ程の傷を負わせた。

刃竜に誇りというものがあるのならば、これは許される事ではない筈だ。

「くっ…」

ナハトが立ち上がれないまま、歯を噛み締める。

完全にしくじった。

最早彼女に対抗する術はない。

目を閉じ、覚悟の表情。

刃竜はナハトをひと飲みにしようと、大きく口を開ける…!



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