討竜の剣
ようやく解放されたのは深夜。

俺達は宿を取り、体を休める事にする。

「さてと」

刃竜の角を壁に立てかけ、俺はベッドに腰掛ける。

「ナハト、この角はどうするんだ?」

「…明日の朝一番に…武具の店に持ち込んで…鍛冶場を借りる」

彼女もまたベッドに腰掛け、小さく息をつきながら言った。

「鍛冶場で加工して…剣にする…」

そんな事できるのか、と言いかけて、ナハトがドーラの民である事を思い出した。

この世界で一番の業を持つ器用な民族。

科学を駆使した兵器から、手先を利用した工芸品まで。

ドーラの民の技術は世界のどこに行っても通用する。

それは剣を鍛える技術も例外ではない。

ましてや武器商を営むナハトだ。

武具の加工技術に関しては折り紙付きだろう。

「ならすぐにでも刃竜の角で剣ができるのか?」

「……」

ナハトは無言で頷いた。

「剣として使える形になら…できると思う」

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