背伸びKISS
「おい、一人でさきさき行くなよ」
「わかってるよっ」
「はぁー」と、ため息をもらしている篤弥より一歩前を歩いて人の波に入る。
後ろでは、篤弥が
「元気なやつ」と
目を細めて優しく
微笑んでいる。
……だって遊園地だよ?
せっかく来たんだから
楽しまなきゃ!!
「篤弥、何乗りたい?」
案内地図を見ても
たくさんありすぎて、
何から乗ればいいのか
わからないあたしは
とりあえず篤弥の意見を聞くことにした。
「……何でもいいの?」
「うん!!」
「……その言葉、忘れるなよ」
そう言って口の端を
吊り上げて怪しい
笑顔を向ける篤弥を見て
あたしはぴきっと
背筋が凍るのを肌に感じた。
そしてその予感が
見事に的中してしまう
なんて……。