太一の嫉妬―バレンタインデー続―『短』

「あっ…えと…あー…」

あゆみの戸惑った声が聞こえる。

何で断らねえんだよっ!

ムシャクシャとした気持ちで様子を伺う。

「別に彼氏いるわけじゃないんだろ?」

俺だよ!

「え……?…あ…」

あゆみは困った表情で俺を見てきた。

何?

何で“います”って普通に言わないんだよ?

イライラとして思わずあゆみをにらみつけた。

「あっ…いません…っ」

するとあゆみはとっさにそう言った。

は?

そんなにそいつに気に入られたいのかよ?

彼氏いるって言えない相手なのかよ?

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