太一の嫉妬―バレンタインデー続―『短』

「あっ…あゆみ…」

戸惑ってあゆみに触れようとすればパシッと乾いた音が響いた。

あゆみが俺を拒否った?

「ばかっ……好きじゃないなら思わせ振りなことしないでよ…っ!」

涙で震えた声は何だか愛しかった。

そっと優しくあゆみを抱き締める俺。

胸の中で子供みたいに泣きじゃくるあゆみ。

「前言撤回。俺さっきのヤツに嫉妬してた…。ごめん」

その言葉にゆっくり顔を上げるあゆみ。

「ほんとーに?」

真っ直ぐ見つめられて恥ずかしさも覚えつつ「ああ」と頷いた。

その瞬間涙目で無邪気に笑うあゆみ。

やっば……

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