ルリイロ。
笑顔
今日もまた、君が笑う。
『悠ちゃーん!』
吐く息が白色にかわり、
毎年つける紺色のマフラーに
顔をうずめる季節になった今も
瑠璃は俺を呼ぶ。
『おう、おはよ。』
俺の名前は、早山悠人(ハヤマユウト)。
中学2年生。
『今日も寒いねえ…もう嫌んなっちゃう。地球温暖化なんて嘘だ。』
赤いチェックのマフラーを巻き、
薄いピンクの手袋に手をつつみ、
栗色の長い髪を風になびかせているこの女は…
紀本瑠璃(キモトルリ)。
俺の幼なじみだ。
『仕方ないだろ。冬なんだから。お前毎年同じセリフゆってるぞ』
眉間にかすかにシワを寄せ、
そうかもだけどぉ…
と不服そうな瑠璃。
俺達はいつも一緒に居る。
付き合ってるワケでもない。
ただまわりも、
『そうゆーもんだ』と、
勝手に解釈してしまっているだけだった。