ルリイロ。

『……ハァっ!?』

明日美は、勢いよく立ち上がり、その拍子に椅子をひっくり返した。

そして、ゆっくりと俺をにらんだ。

『ちょっと、悠人。どういうことよ。アンタ、瑠璃がだーーーい好きなくせに!なーに意地はって嘘いってんのよ!』

いきなり明日美にどつかれて、俺は頭に血がのぼった。

『…意味わかんねーんだよアイツは!いきなり怒るし…言ってることとやってることおかしーんだよ。』

『それは悠人だろ?』

ケンがすぐに反論した。

『…俺は瑠璃のことなんか好きじゃねぇよ。』

明日美は、俺のコトバをきいて、深いため息をついた。
そして、カバンを手にとり、
『ケンちゃん帰ろ。』
とケンを誘った。

ケンは俺を見たあと、
明日美に笑いかけながら
『おう。』と言っていた。

俺は窓の外を見ながら、
さっき放ったセリフとはウラハラに、
瑠璃の笑顔ばかり考えていた。


『…悠人。』

ケンが呼んだ。

< 26 / 132 >

この作品をシェア

pagetop