ルリイロ。
―そりゃ…瑠璃はモテるだろうけど…いままでなんも…
『だあ―っ!もう!考えててもわかんねぇよ!』
俺は頭をかきむしった。
はあーっと深いため息をつき、
ひとりで階段を降りて
人のいない下駄箱へ向かった。
そして、はき慣れたスニーカーをとろうとしたとき、つまさきになにかがあたった。
…瑠璃がカバンにつけていたお守りだった。
これは宝物なの、と無邪気にわらった瑠璃を思い出す。
薄いピンクに、細かな刺繍がされたお守り。
『恋愛成就』と書かれていた。
俺は、お守りを握りしめた。
瑠璃に会いたい。
瑠璃と話がしたい。
また…俺の前で笑ってくれよ。
瑠璃…
好きだと…伝えたい…。
右手にお守りを握りしめ、夕暮れの帰り道をひとり歩き、ただ瑠璃のことだけを考えていた。