ルリイロ。
『…じゃ。』
瑠璃がニコリと笑う。
『おう。じゃあな。おやすみ。』
俺は、言い終わらないうちに瑠璃に背を向けた。
うしろで、なにかを言いかけたように瑠璃の声がしたが、聞こえないフリをした。
すると、バタンと、ドアの閉まる乾いた音だけが残った。
そっと、うしろを振り返る。
瑠璃は、居ない。
明日学校に行けば、瑠璃には会える。
でも、ひどく寂しかった。
いままでの『日常』が、なくなってしまった。
朝、うしろから俺を呼ぶ瑠璃の声。
瑠璃のノート。
瑠璃の笑顔。
涙さえも、きっともう見る機会はないだろう。
それは、片恋を抱いてしまった今の俺にとって、とてもつらかった。
会えないワケじゃない。
でも…瑠璃が遠い。
瑠璃が居ればカンペキだった俺の世界は、いとも簡単に崩れていった。