ルリイロ。

『…あいつは俺のボタンなんかいらねぇだろ。』

『瑠璃ちゃんがそう言ったのか?』

『…いや、べつに。』

『悠斗。』

ケンがいつになく真剣な顔で、俺のことばを遮り、言った。

『もう隠すな、悠斗。お前はどれだけ後悔したんだ?本当に好きなものは、そう簡単に手離すなよ。気づいたときには、遅いんだよ。言えよ。瑠璃ちゃんに伝えろよ。』

俺は、ゆっくりとかばんについたお守りに目をあてた。

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