『桜』と『はちみつ色』の君 【短編】
「そう、怖がんなって!
寂しいんだろ? オレは慰めてやるって言ってるだけじゃん?」
男は、椿の肩を揉むように握り囁く。
「い、いや!・・や、止めて・・・く、ください。」
声が震える。
「声、震えちゃって可愛い〜。止めてください!だって。
萌えるなぁ〜。
今更、止めるわけねーだろう!」
男の顔が豹変する。
薄気味悪い笑みを浮かべ、私を突き放した。
「逃げてみろよ!」
その拍子に前へと倒れてしまう。逃げようにも足が震えて立てず座り込んでしまった。
「ハハハ。怖くて足が動かないか? じゃ、鬼ごっこはできないな。...」
そう言いながら、私を押し出し馬乗りになる。
もう、・・・ダメ・・・だ。
そう思った時、急に体が自由になった。
「・・・ん?何で?」
そっと目を開けた私が次に見たのは、
男が殴り飛ばされていた光景。
そして、殴り飛ばしたのは・・・、
「そ、蒼一朗・・・さん?」