『桜』と『はちみつ色』の君 【短編】
蒼一朗さんが立ち止まる。
目の前には、樹齢何百年かと言うような大きな、大きな桜の木が立っている。
花は満開で、花風でひらひらと花びらが降ってくる。
あまりの美しい光景に圧倒される。
「綺麗だろう?これを椿ちゃんに見せたかったんだ。」
ビュッーーーー!
突風が吹く。
椿はバランスを崩しよろけてしまい、その拍子に木の根に躓く。
「「あっ・・・!」」
二人の声が重なる。
倒れようとしている椿を、蒼一朗の左手は椿の腕を、右手はウエストを。
見た目からは想像できないような男らしい腕が捕らえ、自分の方へ引き寄せる。
「あ、ありがとうございます。・・・何か私、助けてもらってばっかりですね。」
そう言いながら、顔をあげると・・・
目が・・合う。
見つめ合う....