Melty Kiss 恋に溺れて
ぎくり、と。
その声の主を見上げ、男の顔が強張るのが見て取れた。
太陽を背に、ブロックの壁のさらに上に立っている声の主を想像するだけで私の心臓はどきりと跳ねる。
何も言わずに踵を返して男が走り去っていくのを、つまらなそうに見届けた後で。
すとんと。
私の背よりずっと高いブロック壁の上から、王子様が降ってきた。
くしゃり、と。
王子様こと、銀 大雅(しろがねたいが)が、私の髪の毛を撫でる。
夏の日差しと自分の汗にやられて、随分と湿ってしまった私の長い黒髪を、彼の指が躊躇うことなく撫でて行くのを感じるだけで、私の心臓は甘くときめいて止まない。
「都さん、危ないことはしないって約束でしょう?
清水がすぐに報告してくれたから良かったものの」
と。
大雅は、さっき男に向けたのとは打って変わった甘い声音で私の耳元に囁いた。
どきりどきりと、私の小さな心臓がのた打ち回るのを感じずにはいられない。
この暑い真昼間だというのに、冗談のような白いスーツがとてつもなくよく似合うその男は。
もうすぐ二十歳になる、美青年だ。
私が物心ついたときから、それはそれはかっこよかったのだが、年を重ねるたびに美形に凛々しさが加わってきて。
もう、どう表現したら良いのかさっぱり分からないほどの良い男。
――つまり、私の恋心を根こそぎかっさらっている人――
なのだ。
その声の主を見上げ、男の顔が強張るのが見て取れた。
太陽を背に、ブロックの壁のさらに上に立っている声の主を想像するだけで私の心臓はどきりと跳ねる。
何も言わずに踵を返して男が走り去っていくのを、つまらなそうに見届けた後で。
すとんと。
私の背よりずっと高いブロック壁の上から、王子様が降ってきた。
くしゃり、と。
王子様こと、銀 大雅(しろがねたいが)が、私の髪の毛を撫でる。
夏の日差しと自分の汗にやられて、随分と湿ってしまった私の長い黒髪を、彼の指が躊躇うことなく撫でて行くのを感じるだけで、私の心臓は甘くときめいて止まない。
「都さん、危ないことはしないって約束でしょう?
清水がすぐに報告してくれたから良かったものの」
と。
大雅は、さっき男に向けたのとは打って変わった甘い声音で私の耳元に囁いた。
どきりどきりと、私の小さな心臓がのた打ち回るのを感じずにはいられない。
この暑い真昼間だというのに、冗談のような白いスーツがとてつもなくよく似合うその男は。
もうすぐ二十歳になる、美青年だ。
私が物心ついたときから、それはそれはかっこよかったのだが、年を重ねるたびに美形に凛々しさが加わってきて。
もう、どう表現したら良いのかさっぱり分からないほどの良い男。
――つまり、私の恋心を根こそぎかっさらっている人――
なのだ。