Melty Kiss 恋に溺れて
5.突然の××
はぁ、と。

これみよがしに大雅がため息を吐く。

「赤城さん、悪いけど予定変更。
俺のマンションに連れて行って」

私に向けては決して発さない低い声でそう言った。
空気さえ震わせるような、冷たい声。
多分、こちらが本来の大雅の姿なのだと思う。

「かしこまりました」

「なぁに、お仕事?」

大学に入ってからは、大雅は一応マンションを借りて一人暮らしをしていた。
とはいえ、ほとんど毎日ミーティングや何やと、お邸に出入りしているのだけれど。

大雅はちらりと私を一瞥して、ぷいと目を逸らした。

「まぁ、お仕事と言えるかもしれませんね。
どちらにしても、私たちには少し時間が必要です」

な、何?
私たちって言うのは、私と大雅のことを示すのかしら?

事態が飲み込めないままに、車はマンションの地下駐車場へと入る。
私は大雅に連れられて、二人で最上階の部屋へと上がっていった。

大雅はこの決して狭くは無いマンションの最上階の全てのフロアを、一人で借り切っているのだ。

痛いほどの力で私を引っ張って、リビングへと私を連れて行く。
どんと。
まるで突き倒すように私を、ソファへと座らせた。

「……大雅?」

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