奴隷と悪魔



 自業自得だ。


 もうどうすることもできない。


 たぶん茉里唖は、私のことが嫌いになった。


 私は


 まだ茉里唖のことを嫌いになることはできない。


 はやく嫌いになったほうがいいのに。


 私の頭では嫌いになろう。嫌い。


 そう思っているのに、心では、茉里唖のことが好きなんだ。


 茉里唖が私のことを好きでなければ、もういいんじゃないの?


 茉里唖が私のことを好きでなければ、この恋は成立しないのだから。


 それに私は茉里唖とつきあってはいけないから。


 だから


 もういいんだ。


 あきらめるしかないよ。


 きっと。



─────────────



『もうつらいのは嫌!だから恋なんてしない』



≪本当に恋をしないの?本当に茉里唖のことを諦めていいの?≫



『いいの!私は嫌な人間だから』



≪それをうけとめてくれるかもなのに?茉里唖なら美衣菜は嫌な人間じゃない。そういってくれるかもなのに?≫



『だって!私は深君を利用したんだよ?身勝手な理由で!茉里唖を忘れたいから深君と付き合ったなんて!』



≪それは自分自身に勝てなかったんだ。美衣菜は強い心をもっているから大丈夫≫



『私は強くなんかない!強い心なんてもってない!弱い、弱い人間だよ・・・』



≪違う。茉里唖を忘れよう。そう想って2ヶ月以上も頑張った。それは強い心だと思う≫



『違う!それでも忘れられなかった!』



≪努力したことに意味があった。結局は茉里唖が好きだったんでしょ?それなら自分の気持ちがわかったじゃない。茉里唖に告白すればいい≫



『できるはずないじゃない!私はひどい人間なの!』



≪深君は理解してくれてた。最初からわかっていて付き合ったんだ。美衣菜はひどい人間なんかじゃない≫




『・・・っ』







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