奴隷と悪魔

　少しだけ、コワいんだ。



　またあの辛さを味わうわけではないけれど、思い出すと少し辛くて怖い。



　もう茉里唖に離れないでほしい。



　茉里唖が離れたら辛くなってしまう。



　どうしてこんなにも茉里唖のことを好きになってしまったんだろう？



　わかんないけど、私はいつのまにか茉里唖に魅かれていたんだ。



「ふうぅ・・・」



「ねぇ美衣菜」



「ん？」



「あんなことがあってからなんだけど、ね？」



「うん」



「お、怒らないでほしいんだけど・・・」



「うん」




「私・・・。沙神君のこと・・・好きになっちゃった」



「うん・・・。ってぇえ！？う、うそぉっ」



「ほんとだよ。でも怒らないの？」



「怒ったりなんてしないよ。芭衣ちゃんが好きになった人だもん」



「でも、私が茉里唖君に付きまとってたときに、付き合ってたんでしょ？」



「そうだけど。深君は私を支えてくれたの。それに私には芭衣ちゃんの恋を邪魔する資格なんてないでしょう？」



「で、でも私。美衣菜の恋、邪魔した・・・」



「それは芭衣ちゃんも茉里唖が好きだったんでしょ？好きだからやったことじゃん。だから邪魔したなんて言わないで」



「わかった・・・。有難う」



「ううんっ。私は頑張って応援するね!」



「ありがとう」



　芭衣ちゃんが深君に恋をした。



　深君は・・・



　どうなんだろう？